《Mr.リビンマッチが解説する》仮差押・仮処分・差押について

「Mr.リビンマッチ(旧スマイスター)が解説するリビンマッチ(旧スマイスター)・不動産契約解説サイト」今回は「仮差押・仮処分・差押について」です。

不動産契約において、一方の債務不履行が起こった際には、問題解決のために両者で協議することとなります。
そこで解決できない場合には、問題は裁判所に委ねられることになります。(リビンマッチ(旧スマイスター)で調べました、、)

その場合、決着するまで一定程度の時間がかかってしまうため、その間に債務者の財産が自由にできてしまうと、裁判結果いかんによっては債権者にとって大変な損害となりかねません。
ですから訴訟が終わるまでの間に債務者が財産を好き勝手にできないように仮差押、仮処分、差押といった制度が存在します。

 

仮差押・仮処分・差押

・仮差押
仮差押とは、金銭債権、または金銭債権に換えることのできる債権を強制執行するための予備的な手続きとして、債務者の財産が減少することを防ぐために行います。

後に正式な差押を予定して、現時点では仮に差し押さえるという意味で、仮差押といいます。
訴訟手続から強制執行を終えるまでには通常1年以上の期間を要しますので、手続を終えるまでに債務者が自分の財産を処分してしまう可能性が生じてしまいます。

債権者が、貸金を返済しない債務者に対し、貸金返還の訴訟に勝訴して、債務者の不動産への強制執行ができるようになっても、勝訴が決まる前に債務者が不動産を売却してしまえば、貸金返還という目的は達成できません。
このような事態を防ぐ予防措置として仮差押をします。

仮差押は債務者へのプレッシャーとなりますので、仮差押をすることで債務者が返済に応じてくれることがあります。
仮差押の処分を受けると債務者は財産を処分できなくなり、さまざまな不都合が生じますので非常に困ることになるのです。
例えば、預金口座が仮差押になると、仮差押の範囲で預金取引ができなくなり、場合によっては預金がすべて凍結されてしまう可能性も生じます。

そのため仮差押を行うことで、債務者との交渉がうまくいくこともあります。

・仮処分
仮処分とは、自己の権利が侵害される緊急の事態が差し迫っているときに、それを防止するための法的手段です。
訴訟で決着するまで時間がかかるため、裁判結果を待っていては債権者に著しい不利益が生じる危険があり、保全する必要性が高い場合に、暫定的に権利の保全を目的として行う処分です。

仮差押が金銭債権を対象とするのに対し、仮処分は金銭債権「以外」の権利を保全します。
仮処分の対象はさまざまですが、不動産に関しては相手方が不動産を売ってしまうことを防止する「処分禁止の仮処分」、日照を阻害するマンションの「建築差し止めの仮処分」などがあります。
仮処分は、こういった相手方の何らかの「行為」を禁止する保全処分となります。

仮処分で認められるのはあくまで仮の決定ですので、裁判で決着がついたときには裁判の結論が優先されます。
仮処分が認められていたとしても、裁判で負けてしまえば仮処分の効力は無くなり、相手に損害が発生していた場合には賠償しなければなりません。

なお、裁判に勝つことができれば仮処分の内容通りになります。

・差押
差押とは、債務者が財産を自由に処分できないように、公権力が押さえることです。

差押は、私人の持つ不動産の処分権を強制的に奪うことなので、公権力にだけ認められた行為といえます。
ですから、借りたお金を返済しない債務者に対し、債権者が直接に差し押さえることはできず、裁判所に頼んで(競売の申し立てをして)差し押さえてもらうという、間接的な形をとります。

差し押さえた不動産は、裁判所や税務署・地方公共団体などの執行機関が、競売(裁判所)または公売(税務署・地方公共団体)により売却して、金銭に換えることとなります。
公売を行う税務署および地方公共団体は、売却代金より直接債権を回収します。
競売を申し立てた債権者は、売却代金からの配当を受けることにより、債権を回収します。

差押とは、極端にいうと公権力によって債務者の「所有権」を侵害しているともいえます。
しかし合法的な処置ですので、所有権のすべてを禁止したりするわけではありません。
債務者の生存権を脅かすことが無いように配慮されているのです。
一般に所有権の内容は「使用収益」と「処分」に分けて考えられていますが、差押は「処分」だけを制限し、「使用収益」には影響を与えません。

ですから所有者は、差し押さえられた不動産を、以前と同様に使い続ける(「使用収益」)ことができます。
それに対し、売ること、貸すこと、抵当権を設定することなどの「処分」する行為は「制限」を受けます。

差押はあくまでも処分の「制限」にとどまり、「禁止」ではありません。
ですから差押の後でも、所有権の移転や抵当権の設定は「制限」はされますが、「禁止」ではありませんので、原理としては可能であり、その登記も行われます。

処分が「禁止」ではなく「制限」されるとはどういうことか分かり難いですが、具体的にいうと、差押の「後」に行った処分行為でも、その差押が「幸運にも解除される」といった事態が起こった場合には、その効力を発揮したまま維持されるということです。
とはいうものの、実際に差押が解除されることはほとんど無いということも付け加えておきます。

差押にも種類があります。
差押を行う主体の違いにより区別されているのです。

担保権者(ほとんどは抵当権者・根抵当権者)が競売を裁判所に申し立てて、担保権設定者(担保を設定された者、債務者)の財産を差し押さえることを「担保権の実行」といいます。
また、担保権を持たない債権者(一般債権者)が強制執行を申し立てることで、債務者の財産を差し押さえることは「強制競売」となります。
さらに、滞納されている税金等を取り立てるために、税務署や地方公共団体が滞納者の財産を差し押さえる「滞納処分」があります。

差押と似たものとして、参加差押があります。
参加差押とは、すでに差し押さえられている不動産があって、税務署や地方公共団体があとから参加して行う差押のことをいいます。
参加差押ができるのは官公署に限られており、すでに差し押さえられている不動産に対してのみ可能です。

参加差押によって、他の先行する差押手続からの配当を受けることができます。
また、先行の差押が解除された場合には、参加差押をした時点にさかのぼって差押の効力が生じることになります。