《Mr.リビンマッチが解説する》売買物件の特定

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「Mr.リビンマッチが解説するリビンマッチ(旧スマイスター)・不動産契約解説サイト」今回は「売買物件の特定」です。

不動産売買契約にあたって重要なことのひとつとして、売買の対象となる物件とは何か、を明確にしておく「物件の特定」があります。
物件の特定が明確に行われていないと、その物件の売買契約書自体が無効となってしまいます。詳しく解説させて頂きます。

売買物件の特定

物件の特定は、契約書を読みやすくするために、一般には契約内容が記載される本文とは分けて、契約書の冒頭や末尾に「物件目録」を設けて記載されています。

一筆の土地の一部分のみを売買するときには、契約書に図面を添付して、その範囲を図面上に朱線で特定し、「〇番〇のうち、別紙図面朱示部分〇〇㎡」と表示します。
この場合、引っ越しまでに分筆登記を完了させておいて、所有権移転登記ができるようにしておきます。

また登記上の記載は、必ずしも現在の状況を正確に反映しているとは限りません。
物件の特定にあたっては、現在の状況と登記上の記載が一致しているかを確認する必要があります。
というのも、例えば増改築などにより床面積が増えているといったような、建物の現況が登記上の表示から変わっていることがあるからです。

このような場合、本来であれば表示変更登記をしなければなりませんが、行われていないこともよくあります。
登記は、当事者の申請を待ってはじめて行うものであり、増築によって床面積が増えたとしても、所有者が変更登記の申請をしない限りは登記上の面積は元のままです。

建物の新築や増築をした場合には、1か月以内に表題登記や変更登記をすることが義務付けられてはいるのですが、必ずしも守られていないというのが実情です。

固定資産課税台帳の評価証明書
現在の状況が登記上の表示と一致しているかどうかを確認するための手段としては、市町村が発行する評価証明書(公課証明書)の記載事項を参照することが有効です。

市町村は、固定資産税を適正に課税するために、課税のための基礎資料として「固定資産課税台帳」を整備しています。
また課税対象である土地建物を正確に把握するため、独自に調査を行っています。

固定資産課税台帳の記載は、この市町村による独自調査結果にもとづくので、変更登記の行われていない物件についても、現況を正しく表している可能性が高いと考えられます。

ただし、あくまで独自調査ですから、計測の仕方によって登記面積と多少のズレが生じることはあり得ます。
台帳の記載事項を証明する書類を、正式には固定資産課税台帳登録事項証明書というのですが、一般的には評価(課税)証明書と呼ばれます。

評価証明書の記載事項に加えて、固定資産税(都市計画税)の税額を記載したものを公課証明書といいます。
この公課証明書は、固定資産税の負担額を算定するのに必要となりますので、売主が用意することになります。

建物図面
また、現在の物件状況が登記上の表示と一致しているかどうか、建物図面を確認手段として利用することもあります。
建物図面とは、建物の形状および敷地との位置関係を示した本来の「建物図面」と、各階の形状を図示していて、床面積および求積方法を記載した「各階平面図」から構成されています。

通常では、両者を総称して建物図面と呼んでいます。
建物図面は、建物を新築して表題登記をするときや、増改築して床面積・構造の変更登記をするときに、登記申請書に添付して法務局へと提出されます。

建物図面には、敷地の範囲とそれを構成する地番を示し、建物と敷地外周までの距離を適宜表示します。
建物の範囲は1階部分を表示して、建物と敷地全体の位置関係を示すので、地上建物の特定に役立ちます。
登記上の面積と現在の物件の状況が一致するかを確認する際に、建物図面に記載の建物の範囲と現況の範囲を見比べることによって、増築の有無を判断することができます。

しかしながら、建物図面は登記されたすべての建物についているわけではありません。
1960年(昭和35年)4月から建物表示登記、現在の表題登記の申請にあたって建物図面の添付が義務付けられました。
ですから、それ以降に建てられた建物には建物図面が存在することになりますが、言い換えるとそれ以前に建てられて表示登記(表題登記)された建物には建物図面はないということになります。
なお、1960年4月以降であっても、1965年(昭和40年)前後までは建物図面がないこともあります。

では、実際に売買物件の現況が登記上と違っている場合にはどうすればいいのでしょうか。
物件の現在の状況が登記上と異なる場合には、登記上の表示を記載したあとに、「現況」として現在の状況を記載するようにします。
増築されている現況の物件の床面積がよくわかっていない場合には、登記面積を記載し、増築によって床面積の変化が生じていることを注記する扱いがあります。

注記のみで済むのは、中古の建物の場合、建物の価値は低いので、あまり面積の増減を気にしないからだと考えられていて、床面積は不明でも許されているようです。

不動産売買契約において、売買の対象となる物件とは何かを明確にし、物件を特定する項目は非常に大切です。
売買契約書が無効となってしまわないように、契約書の物件目録と、市町村の評価証明書(公課証明書)や物件の建物図面を参照して、物件の現況と登記上の表示が一致しているかどうかを確認しましょう。

当事者による表示登記変更がなされておらず、物件の現況と一致していない場合には、登記上の表示とともに現在の状況とその理由を注記として付け加えるようにしておく必要があります。

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